ピアソラの思い出2012年09月02日 10時25分


昨日は先日発売された新譜についてお話ししましたが、
今日はその中のピアソラにまつわる話をしたいと思います。

私がピアソラの名を初めて聞いたのは中学1年生くらいの頃でした。
ひと頃活躍していた私の叔父のギタリスト、故芳志戸幹雄から
あるとき「ピアソラって知ってるか?」と言われ、テープを聴かされた
のがきっかけでした。

アメリカに居た小学校時代にいろいろな音楽に触れてはいたのですが、
バンドネオンを聴くのは初めてで、"こんな音楽があるんだ..."
ととても印象に残りました。

残念ながら叔父は私がデビューするかしないかの頃に40代で
亡くなったのですが、いつも彼がこもっていた書斎の棚にピアソラの
テープが何本かあったのは強く目に焼き付いていて、亡くなった時に
そのテープだけ何本かもらっておいたのです。

今回録音するにあたってレコーディング前にそのテープを聴いて
おかねば!と必死に探したのですがなぜか見つからず、
録音を終えた直後にひょっこりと出て来たのがこの写真のテープでした。

1982年にピアソラが初来日した時のライブ録音で、NHKによって
デジタル録音されFMで放送された時のものだと思います。
テープが足りなかったからかライブの前半しか入っていないのですが、
奇しくも今回私が叔父を思いながら捧げるつもりで入れた
「天使のミロンガ」も入っていました。
CDに a mis tíos、(私の叔父へ)と記したのはそのためです。

叔父が亡くなってかなりの年月が経ちましたが、こうして思い出とともに
音源が残り、彼の書いた字が残り、そしてピアソラの素晴らしい作品を
今私がピアノでもって受け継いでつないでいく。

これこそがまさに音楽の素晴らしさなのではないかと思うのです。


三舩優子(ピアノ)

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