ギターの歴史2012年08月18日 11時36分


トーレスによってギターは多彩な音色の変化、音量を獲得しました。
この楽器を使って近代のギター奏法の基礎を確立したのが
「アルハンブラの思い出」で有名なフランシスコ・タレガであり、
その奏法は門下のリョベートやセゴビアに伝播していったのです。

しかしギターのレパートリーは、ヨーロッパ圏内にとどまりません
でした。まだまだ違う音楽の波があったのです。

最も注目すべきは、ギター音楽の南米への波及です。
1492年のコロンブスの西インド諸島発見とともに、一気にヨーロッパ
文化が南米に流れ込みました。

16世紀初頭、スペインで完成し、初期の対位法を生み出した楽器
ビウェラはギターの祖先とも言える楽器です。
現在の研究では、この楽器は2つの方向に伝播しました。
ひとつは北へ、つまりメキシコ方向に。もうひとつの流れは南へ、
チリを含む南米方向に向かったようです。

その後、二百年以上の歳月をかけて、ヨーロッパの音楽はゆっくり
ゆっくり中南米と南米に浸透するとともに新しい音楽が生まれて
いきました。
新しい音楽を生み出す原動力となったのが黒人たち、すなわち
アフリカから連れてこられた奴隷たちの音楽です。
例えば彼らの音楽のなかでも、キューバのハバナを経由して
もたらされたハバナ風の踊りと言うことで、「ハバネラ」。
これが後のタンゴの原型なのです。

さて、今回の「せんくら」でフルートの荒川洋さんと演奏する
アストル・ピアソラの名作「タンゴの歴史」は、そのタンゴの発展の
有様を20世紀初頭から表現した名曲です。

話は1900年、ブエノスアイレスの場末の酒場から始まります。

この続きはまた明日…


福田進一(ギター)

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