故郷 ― 2012年08月25日 10時48分
私の出身地は
宮城県の石巻市です。
普段東京で暮らす私はたまたま震災のあった3月11日のあの時間、
まさに石巻の街中にいてその後は外部との連絡が途絶えたまま
一週間ほど過ごしました。
自分が助かったことに対する違和感を覚えるくらい絶望的な風景や
人々の表情は、言葉で説明することは難しく、ただ生涯忘れることの
出来ないものとして残っています。
あの時そこにいた人の数だけストーリーがありました。
色々な事を思ったけれど、その中でひとつ小さな驚きが。
それは失った景色を見て記憶が蘇ったことです。
震災によって何もなくなってしまったり
変わってしまった場所を目の前にしたとき、
ここで地面に座り込んでみんなでスケッチをしたな、とか
ああここであんなことが起こったな、とか・・・
ほんの小さな、すっかり忘れていた幼い頃の思い出が、
引き出しの奥の奥からポロポロと見つかったのです。
ものが簡単に失くなってしまうことがあっても、
記憶は簡単に失わないと、実感した瞬間でした。
15歳で離れた故郷ですが、年を重ねる毎に帰ることが
楽しみになっています。
そして、故郷を思う気持ちとはこういうことなのかなと
少しわかったような気がする今日この頃です。
ゲルティンガー祥子(ピアノ)
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