クラシック音楽のトレンド2012年06月26日 09時35分


クラシック音楽は永遠に不変で、作られた時から同じスタイルで
演奏されてきたと思っている人は少なくないかもしれません。

でも、実際はファッションやメイクアップ同様、
時代によって徐々に変化しています。

変わらないのは演奏のために使う楽譜で、どの時代であっても、
どんな演奏家であっても、音を足すことも省くこともありません。

同じ楽譜を使っていても、解釈や演奏の仕方によって
伝わる音楽は大きく変化します。
その演奏が時代にマッチしていれば受け入れられますし、
逸れていれば興味を持ってもらえませんので、クラシック音楽を
次の世代に遺すには、演奏家がトレンドを理解して取り入れる
必要があります。

私は、ここ1年でトレンドが大きく変化したように感じています。

人々が音楽を聞いて何を感じたいのかが変わっているので、
同じ演奏をしたとしてもこれまでとは受け取られ方が違い、
時に自分自身が混乱することもあります。

でも、いつでも聞き手の方が音楽に対して純粋ですので、
その感覚から学ぶことはたくさんあります。

自分自身が古い感覚のままで弾いていたのでは、
音楽の継承に役立つことができませんので、音楽以外の
トレンドにも常にアンテナを張りながら、最先端の感性を演奏に
活かしていきたいものです。

そう言ってしまうと、伝統を軽んじているように聞こえるかも
しれませんが、まったく逆です。

私が好んで演奏する曲が作られた時代には、エレクトーンは
存在しませんでした。
作曲家にとって未知の楽器を使って、その人の作品を演奏する
わけですから、むしろ慎重にならざるをえず、例えばピアニストが
ピアノ曲を演奏する際にはまったく無縁の不安を抱えています。

エレクトーンや私が、長く受け継がれてきた芸術性を壊すことに
ならないよう、細心の注意と責任感で演奏してくつもりです。


神田将(エレクトーン)