せんくらは止まらない2012年06月22日 12時12分


仙台の皆さま、そして全国のせんくらファンの皆さま、お久しぶりです。
エレクトーンの神田将です。
今日から1週間、出演者ブログのトップバッターを務めますので、
よろしくお願いします。

さて、せんくら2012の開幕まであと100日。
その日が待ち遠しくて仕方ありませんが、昨年のせんくらが終わってから
もう260日以上が経ったなんて、本当に驚きです。

3日間で5回あった私の出番のことは、今でもはっきりと覚えていて、
まるで数日前のよう。たくさんのお客さまと一緒に音楽を分かち合えて、
胸がいっぱいになった日々の余韻はまだ色濃く残っています。

そこにせんくら2012にも出演させてもらえるとの知らせが入り、有頂天の私。
そこで気付きました。せんくらの演奏会は1年にたった3日間だけど、
せんくら自体はずっと途切れずに連続しているんですね。

これだけ数多くの演奏会を滞りなく実現するには、長い期間の緻密な
準備が必要ですから、スタッフの方々は休む暇もないことと思います。
スタッフやボランティアの方々が至れり尽くせりで支えてくれるので、
毎年とても気持ちよく演奏することができます。
そこもせんくらのすごいところです。

そして、年を重ねるごとにどんどん盛り上がっていくのは、せんくらを
愛してくれるお客さまのお陰。
音楽っていいなぁと改めて教えてくれるのは、いつもお客さまです。
その期待に応えられるよう、精一杯の演奏をお届けします。
今年もせんくらで音楽の素晴らしさを分かち合いましょう。

せんくらのプレッシャー2012年06月23日 09時15分


こんにちは、エレクトーンの神田将です。

せんくらで皆さまに会うのが楽しみな私ですが、それまでには
いくつかの壁を超えて行かなければなりません。
今日は、その壁についてお話しします。

演奏会に向けて、コンディションを整えたり稽古を重ねるのは、
演奏家として当たり前のこと。
でも、せんくらは私にとって特別な機会でもあるので、
ついつい思い入れが先走り、自分自身に高い負荷が掛かる
プログラムを提案してしまいます。
すると、通常の稽古だけでは足りず、いつも直前まで
追い詰められた状態になるのです。

私は今年で4回目のチャンスをもらったわけですが、
せんくらで4回から5回のソロコンサートに出演して、なるべく演奏曲が
重ならないようにプログラムを組むと、毎年30曲ほどを
用意しなければなりません。

プログラムは単に曲を並べるだけでなく、コンセプトを決めて、
取り合わせよく、流れよく、それぞれの作品が引き立て合う
選曲をすることで、お客さまにより深く音楽を楽しんでもらえる
ようになります。

今年はどんな作品をお届けしようかと考えに考える中でやっと
出した結論は、自分自身をまたも激しく追い詰めることになりそうです。

せんくらが開催されるのは、芸術の秋、コンサートシーズンの
真っただ中。各地で演奏会が続き、体力的にも一番余裕のない
時期ですので、安定した演奏を届けるには、リスクを少なくするべき
なのかもしれません。

でも、ご心配なく!
私はこうした追い詰められた状況が好きなのです。

火事場の馬鹿力ではありませんが、切迫するほど神経は
研ぎ澄まされて、またとない試練を体験することができ、
いつでもこうした状況の中で成長してきました。
プレッシャーに押しつぶされそうになっても、耐え抜けば、
核にはダイヤモンドが残ります。

せんくらの3日間はとても楽しくて幸せですが、そんな気分で
当日を迎えるにはまだまだ真剣努力を重ねなければなりません。
オリンピックに向かうアスリートのように、気持ちをしっかり
引き締めて稽古に励んでいきます。

トラベラー2012年06月24日 10時02分


演奏家の多くは旅人でもあります。
演奏会でさまざまな土地を訪ねるのは、音楽にとっても
人生にとっても大きな刺激になります。

私は元来旅好きなので、演奏家として
各地を回れるのはまさに役得。

初めての場所には出会いが、再訪するところには
懐かしさが待っています。
国内の移動にはできるだけ陸路を使いたいと願っていても、
やはり効率が優先される飛行機の利用がほとんど。
東京から仙台までは新幹線ですが、機会があれば気ままに
車で訪ねてみたいものです。

移動中に見る風景は、何度となく通った場所であっても、
いつも新鮮に感じます。
それは、素晴らしい音楽が、何度聞いても、何度弾いても、
毎回新しい何かを教えてくれるのに似ています。

演奏会前後もじっとしていられません。
楽屋は退屈なので、愛用のデジカメを片手に、
会場周辺を散策します。

せんくらの会期中も、その辺りをふらっと歩いている
かもしれませんので、見かけたら気軽に声を掛けて下さい。


神田将(エレクトーン)

さくらプロジェクト2012年06月25日 09時48分


こんにちは。エレクトーンの神田将です。

最近、東北大学エレクトーンサークルMUSICAの皆さんとの
親交が深まっていますが、若くて活動的な彼等との出会いを
くれたのも、せんくらです。

今年の3月11日には、MUSICAの皆さんがコンサートを企画。
それを知った私は、ぜひ一緒に参加させてほしいと頼み込み、
仲間に入れてもらいました。

とりわけ印象に残ったのは、マルシェジャポンセンダイと
タイアップして開催された「さくらプロジェクト」のコンサート。

サンモール一番町アーケードに設けられた特設ステージは
たくさんの啓翁桜で飾られ、寒い一日ながら、多くの方々が
立ち止まって音楽に耳を傾けてくれました。

誰もが何かをやらずにいられないと感じていた時期に、
彼等は得意な音楽で道行く人たちを元気づけました。
生き生きと輝いていたその姿が、今も心に焼き付いています。

私たちプロは、音楽を難しく考えすぎてしまうことがあります。
高度な演奏を実現することに気持ちが向き過ぎて、
本来の純粋な楽しさを忘れてしまうのです。

このささやかなコンサートでは、学生たちと道行く人々から
音楽の底力を教えてもらいました。

仙台にはそんな思い出がたくさん詰まっています。

クラシック音楽のトレンド2012年06月26日 09時35分


クラシック音楽は永遠に不変で、作られた時から同じスタイルで
演奏されてきたと思っている人は少なくないかもしれません。

でも、実際はファッションやメイクアップ同様、
時代によって徐々に変化しています。

変わらないのは演奏のために使う楽譜で、どの時代であっても、
どんな演奏家であっても、音を足すことも省くこともありません。

同じ楽譜を使っていても、解釈や演奏の仕方によって
伝わる音楽は大きく変化します。
その演奏が時代にマッチしていれば受け入れられますし、
逸れていれば興味を持ってもらえませんので、クラシック音楽を
次の世代に遺すには、演奏家がトレンドを理解して取り入れる
必要があります。

私は、ここ1年でトレンドが大きく変化したように感じています。

人々が音楽を聞いて何を感じたいのかが変わっているので、
同じ演奏をしたとしてもこれまでとは受け取られ方が違い、
時に自分自身が混乱することもあります。

でも、いつでも聞き手の方が音楽に対して純粋ですので、
その感覚から学ぶことはたくさんあります。

自分自身が古い感覚のままで弾いていたのでは、
音楽の継承に役立つことができませんので、音楽以外の
トレンドにも常にアンテナを張りながら、最先端の感性を演奏に
活かしていきたいものです。

そう言ってしまうと、伝統を軽んじているように聞こえるかも
しれませんが、まったく逆です。

私が好んで演奏する曲が作られた時代には、エレクトーンは
存在しませんでした。
作曲家にとって未知の楽器を使って、その人の作品を演奏する
わけですから、むしろ慎重にならざるをえず、例えばピアニストが
ピアノ曲を演奏する際にはまったく無縁の不安を抱えています。

エレクトーンや私が、長く受け継がれてきた芸術性を壊すことに
ならないよう、細心の注意と責任感で演奏してくつもりです。


神田将(エレクトーン)